簿記との出会い

12月に入ると、だんだん年の瀬を思うようになります。

税理士業界は、年末調整の時期に入り、せわしなくなります。

また、一般の方には馴染みはないと思いますが、この時期は、税理士試験の合格発表の時期でもあります。

かつて、税理士試験の合格を目指して、働きながら専門学校に8年間も通っていたため、この時期になると、いまだにあの頃のことを思い出します。

私が簿記と出会ったのは、今から10数年前の春でした。

大学卒業後、不動産の営業職として勤務して5年、営業職をやり続けることに限界を感じ、人生を模索していました。一時は、システムエンジニアになろうなんて考えて、授業料ぼったくりのITシステム系の専門学校に通ったりしました。

そして、結局、派遣のシステムエンジニアとなったものの挫折。

その後、周囲のすすめもあり、独学1ヶ月の末、簿記3級をお試し受験したところ、惨敗。

やはり、まずは学校に通わなければと思い、東京の水道橋にあったL校の簿記講座に申込ました。

そこで出会ったのが、Tという先生で、そのT先生の講義で、瞬く間に私は簿記の虜になりました。やはり、大事なのは人との出会いですね。

講義のなかで、T先生がおっしゃった印象的な言葉があります。「貸借とは、何かを得るためには、何かを失わなければならないということ」という言葉でした。なぜかこの言葉にハッとしたのを覚えています。単純に簿記の貸借をわかりやすく説明したかったのかもしれませんが、魂のこもった言葉として、心に響きました。

T先生の語る簿記は、まさに哲学でした。

そのT中先生は、その後、講師をおやめになってしまったようで、消息は不明ですが、今でも心から感謝しております。妻ともT先生のクラスの飲み会で知り合いました。まさに恩師です。

簿記は、単に会計処理をする道具ということでなく、経営にもつながる一つの考え方みたいなものだと思っています。そして、これは人から教わるだけではわかりません。経営の中で積極的に簿記に触れてみることで、少しずつ見えてくるのだと思います。

ちなみに、簿記を日本に導入したのは、今話題の渋沢栄一なのだそうです。

ときどき、経営者の方々のなかで、経理処理は税理士に頼むのだから、簿記なんて知らなくても、とお考えの方もいらっしゃるようですが、ぜひ一度、簿記の本を手にしてみてください。食わず嫌いということもあるかと思いますし、いままで気づかなかった経営につながるヒントも隠されているかもしれません。

最近、簿記の知識がなくても入力できる会計ソフトっていうものがあるそうです。ある意味、便利なのでしょうが、個人的にはあまり好きになれなさそうです。・・・食わず嫌いなのでしょうか。